アレルギー性鼻炎に対する手術ってどんなことをしているの?
こんにちは、カナです!
お薬が効かないアレルギー性鼻炎に対し手術を行うことがあります。
今回は手術の適応や方法に関して勉強していきます。
手術の適応
基本的にはアレルギー性鼻炎の治療に関してはまずは抗原除去や薬物治療を行います。
しかし
- 抗原除去や薬物治療の効果が乏しい、重症・最重症のアレルギー性鼻炎
- 鼻腔形態異常を伴う症例
に対しては手術による治療を行うことがあります。
アレルギー性鼻炎の重症度分類は下の表を用いて行います。
重症・最重症のアレルギー性鼻炎とは
1日の半分以上鼻が詰まっている
1日にくしゃみ、鼻かみを11回以上する
という方です。
くしゃみ、鼻かみの回数なんて数えていないと思うので、普段私は「ティッシュ箱を持ち歩いている」ような人は重症と判断しています。
手術の種類
1. 鼻粘膜変性手術
この手術はアレルギー性鼻炎の主な病変部位である下鼻甲介粘膜を標的臓器とします。
下鼻甲介とは左右の鼻の穴の外側から出ている骨と粘膜であり、アレルギー性鼻炎の方はここが腫れて鼻詰まりを起こしていることが多いです。
鼻粘膜変性手術は施設によっては外来で行うこともあれば、入院で全身麻酔下で行うこともあります。
レーザーによる粘膜蒸散術
- 粘膜を変性させてアレルギー反応を起こしにくくすること
- その後の癩痕収縮による気道を拡大すること
を目的とした手術です。
炭酸ガス(CO2)レーザーやYAGレーザーを用いて焼灼を行い、数ヶ月に1回の頻度で2~3回の焼灼を検討することで治療効果を増強することができます。
自覚症状としては7-8割が改善しますが、1年以内に症状が再燃する可能性があり、長期的に効果を認める症例は約半数という報告があります。
高周波電気凝固装置による粘膜(固有層)凝固
高周波(ラジオ波)にて粘膜固有層の凝固を行う術式です。
サージトロン、アルゴンプラズマ等を用いて行います。
2. 鼻腔形態改善手術
鼻腔形態異常を伴う鼻詰まりに関しては、下記手術を行います。
内視鏡を用いて、鼻内操作で手術を行います。
外来日帰り手術を行っている施設もありますが、全身麻酔下で数日から1週間程度の入院で行なっている施設が多いです。
粘膜下下鼻甲介骨切除術
CTで下鼻甲介骨の肥厚や突出を認める症例で適応となります。下鼻甲介の前端の粘膜を切開し、骨膜下にて剥離を行い、粘膜は残して骨のみを除去します。鼻粘膜を残すことで、加温,加湿、浄化を維持しながら,鼻詰まりを改善することができます。
鼻中隔矯正術
CTで左右の鼻の真ん中の壁(鼻中隔)が左右どちらかに曲がっていることを鼻中隔弯曲症と言います。
成長と共に起こり、成人の約9割の人が弯曲していると言われています。
私も右に曲がっています!
鼻詰まり等の症状がなければ特に何もしなくてよいですが、症状がある場合は矯正する手術を行います。
鼻中隔の前方の粘膜を切開し、軟骨膜下・骨膜下に剥離をして、弯曲している鼻中隔骨を除去します。
鼻中隔の前方が曲がっていたり、外鼻自体が曲がっている場合は外鼻形成術など、通常の鼻中隔矯正術とは異なる手術をする可能性があります。
3. 鼻漏改善手術
この手術は基本的には全身麻酔下で1週間程度入院を必要とすることが多いです。
経鼻腔的翼突管神経切除術(後鼻神経切断術)
後鼻神経切断術はくしゃみや鼻水を制御する神経(後鼻神経)を切断し、それらの症状を軽減するための手術です。
後鼻神経が鼻腔内に出てくる蝶口蓋孔での後鼻神経切断術が一般的ですが、出血等のリスクから粘膜下下鼻甲介骨切除術の際に下鼻甲介骨に分枝する枝を切断する選択的後鼻神経切断術も行われています。
まとめ
アレルギー性鼻炎に対する手術に関してのお勉強でした。
手術といっても様々な種類があり、それぞれの患者さんに合った治療を選択する必要があります。
アレルギー性鼻炎でお困りの方は耳鼻咽喉科へ受診するようにしましょう。
<参考>
- 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会.鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2020年版(改訂第9版).ライフサイエンス
- 青井典明:はなづまりの手術療法-下鼻甲介手術について-.MB ENT.No241.68-72,2020
- 村上泰:イラスト手術手技のコツ 耳・鼻編.東京医学社,2003
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